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フランス人「まったくうちのマスコミほど信用のおけないものはないぜ!」という風刺
- 2013/10/01
- 13:00

ソース:http://www.youtube.com/watch?v=ue7YSg9XP8c <フランスの有料民間TVチャンネルCanal+の番組、Les Guignols(レ・ギニョール)>から
リクエストによる埋め込み無効につきリンクのみ。
http://www.youtube.com/watch?v=ue7YSg9XP8c
▼▼▼この動画を理解するための背景
今回は人形劇の解説ですので、ちょっとチャレンジングな内容ですが、なかのひと二人で頑張ってみました。分かりづらい点、お見苦しい点などありましたらご容赦を。
さて、Guignol とは指人形、もしくは道化者のことを意味します。
しかし、ここでは固有名詞で、Les Guignols(レ・ギニョール)という番組名となります。アイキャッチ画像のとおり、実在する政治家やキャスターを精密に模倣した人形を使う風刺番組です。
このCanal + は有料チャンネルではあるのですが、本番組"Les Guignols"を放映する15分間は無料で視聴することができました。(マドモワゼルさん仏滞在中) 放映時間がちょうど夜のニュース番組の少し前ということもあり、子供から大人まで幅広い層に視聴されている番組です。
政治的風刺が多いのもフランスならではなのですが、政治・社会両面で幅広いバックグラウンドがないと理解しづらい番組なので、ただのユーモア番組としてみるにはちょっと難しいとされています。子供の頃からこういう風刺番組で鍛えられているので、フランス人の風刺や皮肉は筋金入りなのでしょうね。
昔からフランス人はいろいろな国民をバカにしたり茶化したりすることで有名ですが、その中でもベルギー人はいつもバカにされる国民としてトップにあがります。そんな背景を念頭にいれてどうぞ。
フランス語圏ベルギー放送局からの視点:
フランスのメディアはいつ検閲から解放されるのかの巻
シーンは、夜のニュース番組の設定。
キャスターは、フランスのかつて国営放送局、TF1のPatrick Poivre d'Arvorで、この番組ではPPDAという通称。
ニコラ・サルコジ前仏大統領は、自分の背の低さをごまかすために、訪問先で出演する工場職員たちを背の低さで選抜した(訳注:事実です)。訪問の目的は、工場でのスト頻発問題であり、それに対応すべく現場に赴く設定。
サルコジよりも背の低い職員たちがサルコジと話すシーン。
元モデルのサルコジの妻、カルラ・ブルー二が、サルコジに質問する。
カルラ:あら、モナムール。なぜこの人たち、こんなに背が低いの?
サルコジ:俺が一番デカいからさ!
シーンは局に戻る。キャスターであるPPDAが今度はジャン・ピエール・エルカバック(赤いマフラーの人)という、アルジェリア出身フランス人で売れっ子新聞記者にサテライトで次のような質問をする。
PPDA:ジャン・ピエール、こんなわけでサルコジはテレビ出演で共演する人たちを、自分より背の低い人で選んだりするんだけど、そんなニュースやデモ禁止条例のニュースやリュック・シャテル(注:元教育大臣)の愛人の妊娠騒ぎやらいろいろありますがぁ……どうですか?
ジャン:そんなニュースはつまらねえ。マルティーヌ・オブリ―がズルをしたっつぅことの方が重要だろ?(訳注:マルティーヌ・オブリ―はフランスの社会党政治家) あと、セゴレーヌ・ロワイヤルはクソみたいな女だってことも忘れるな(訳注:社会党所属の政治家)
どうにも埒があかないのでまた、シーンはまた局に戻る。キャスターPPDAがラジオを取り出してきてベルギーのラジオ放送を披露する。
ラジオ音声:ベルギー放送局、ベルギー人だけどフランス語で話しまぁす!
ラジオ音声:サルコジ大統領はチビでコンプレックスの塊! お隣フランスの政治は、元トップモデルだった彼の妻によって牛耳られている! 公表される失業率の数値は全部ウソ! 脱税王国フランスは常に健在! 郊外地区の犯罪対策計画はひとつも軌道にのっていない!
キャスターPPDAが頭を振りながらラジオをしまう。そこで中継画面にシラク元大統領が出てくる。
PPDA:シラクさん、こうやってベルギー放送も指摘しているとおり、サルコジさんはテレビの露出にものすごく気を使っていますよね、自分をどう見せるかということに。あなたもそうでしたか?
シラク:何を言っとるんだ! わしは1m90cmも身長があるんだぞ、そんな悩みはないに決まっとるだろ。わしがテレビに出るときにもっとも気を付けていたのは、“正直な人間"として、テレビに映るかどうかってぇことだ!!」
PPDA:……。
シラク:そうだろ! だって、共和国連合(RPR党)にいたときなんて、周りはどぉしようもないやつらばかりだっただろ? それに比べて国民運動連合(UMP党)は、みんなCastor Juniorみたいに“クリーンな”イメージだろ?(注:Castor Junior はアヒルをモチーフにしたアニメキャラ)」(訳注:RPR党もUMP党もシラクが異なる時代に支持した右派政党)
PPDA:……う、まぁ、よしとしましょう。
次のニュースに移ろうとする時に、突然、スタジオ裏から「おいっ! ちょっと!!」と声が。こそこそと出てきたのはスイス人ジャーナリストの Jean-Philippe Schaller(訳注:スイス人もベルギー人と同じぐらいフランス人にバカにされる対象となっている)氏。
キャスターPPDA:(やべ!っと驚いた調子で)お、例のブツ、持ってきたか?
JPS:もちろんさ、もってきたよ!
PPDA:恩にきるぜ。ホンモノだろうな?
JPS:ホンモノもホンモノ、正真正銘の Le Soirさ。ベルギーで一番売れている新聞だぜ!
PPDA:よし……いくらだ?
JPS:3,5€だ
PPDA:(財布からお金を出しながら)ほんとだな? 間にフィガロとかパリ・マッチとかにページがすり替えられていねえだろうな?(訳注:フィガロ、パリ・マッチは両方ともフランスの日刊紙)
JPS:一切情報操作もされていないベルギー産の真実の情報しか載っていないあのLe Soir紙だ、心配するな。でもな、これだけは言っておくぞ。一気にに読むな。刺激が強すぎて泡吹いちゃうからな。
PPDA:(画面正面の視聴者たちに向き直り)えぇーっと、(Canal+の)放送局幹部の方々、ご安心を。これは純粋に個人的な目的で購入しただけですから!
▼▼▼解説
今回とりあげられたネタは2009年9月に放映されたものですが、ベルギー放送という視点からフランスのメディア風刺・メディア批判をしていることが特徴です。つまり、フランスの大統領がいかに滑稽な存在であるかということ、フランスのメディアが発信する情報がいかに信じられないかということを、フランスの民間放送局という立場から風刺しているのがポイントです。
同時に、それがいつもフランス人がバカにしているベルギー人やスイス人からの視点で取り上げられているというところもフランスならではのシニックなところです。
これは後日、このネタでも最後に取り上げられているLe Soir 紙でも、実際にニュースとして取り上げられて、「フランスメディアがベルギーメディアに一目置いてる♪」と、好評だったそうです。(その分、いつもこきおろされているので) Le Soir紙(2009年9月11日発行)

また、ベルギーだけでなく、スイスの著名ジャーナリスト、Jean-Philippe Shallerが取り上げられたことでスイスのメディアでもこのGuignolは話題となりました。
実際にサルコジが視察した工場の工員たちに、「本当に背の高さで選ばれたんですか?」と聞きまくり、「そうですよ」との返事を引き出した画像をニュースにしたり、別のGuignol の番組でJPSとPPDAが対談しているシーンを放映して、「フランスのメディアで言われているニュースはあまりにも嘘が多い」ということをアピールしたりしています。
以下は、そのTSR(テレビジョン・スイス・ロマンド)という、スイスのフランス語圏を対象地とする放送局の、夜のニュース番組の動画です。
La Télévison Suisse Romande évoque les retombées du reportage de son correspondant Jean-Philippe Schaller, qui travaille aussi pour la télévision belge.
ということで、なんでもバカにしたり風刺したりするフランス人ですが、当然ながら自国の大統領から自国のメディアの情報の信憑性の欠如まで、こうしてあれこれ風刺しているわけです。なんとなくフランスの風刺文化が見えてきた感じでしょうか。
Wifi Bee
いやー、これ全くその通りだね! 特に最後の方!
まぁ、俺たちベルギー人はメディアでは
言いたいことを言いまくったり、批判しまくったりしているけどさ。
でも政治家たちは腐っているよね。
それなのにずっと居座っているし!
thierry stille
このコメントには否定的な投票が数多く寄せられました。
>Wifi Bee
は? なに言ってんだよ、あんた。
いったいどれだけのお笑い芸人たちが政治家をバカにしてきて
厄介なことになってると思ってんだ?
レ・ギニョールの番組は25年ぐらい続いていて、
ありとあらゆるニュースを取り上げてきたじゃねえか。
おまえの国ベルギーには、
あの番組の足元にも及ぶものがないじゃないか。
まったく、わかってねえなー。
Mergny666
> thierry stille♂
当たり前だっつーの。
ベルギーの人口=1000万人。
フランスの人口=6600万人。
ベルギーのテレビ番組が政治家をユーモア込めて
批判したところで、絶対数として視聴者が少ないのは当たり前じゃんよ。
Marco Verrati
> thierry stille
うん、確かにベルギーにはフランスのレ・ギニョールに
相当する番組はないかもしれないけどさ、
彼らは、政治家をバカにするときでも常に
ユーモアというものを表に出しているじゃん?
ベルギーだとそれが真面目に取り上げられちゃう番組に
なっちゃうからダメなんだよなー。
ベルギーでも、もっとユーモアをもたせて放映すれば変われると思うけど。
Marco Verrati
> Wifi Bee
確かにさ、俺たちフランスの国ではさ、
ヨーロッパの中でもメディア検閲が最も激しくて、
国民調査の結果なんてほとんど改竄されている国だからな。
いやいや、哀れな国、フランスだよ。
videonofan
> Wifi Bee
だけどさ、ベルギーでは(フランスみたいに)二度も罪に問われた大臣が、
まだ役職に居座る……なんてことあるか?
coati4139
>videonofan
いるだろww わんさといるさ!!
Wifi Bee
> videonofan
あぁ、確かにいるか。
いいご指摘だ。(^^;)
Le Caïd
今回のこの番組、レ・ギニョール、でかした!
今はもう2013年の終わりに近いけど、
“人権の国”(訳注:フランスのこと)のメディアが
これ以上ヤバい時代はないからねっ……!
Aslex49
レ・ギニョールが取り上げることって常にリアルだからね。
これは別に過激でもなんでもないよ。
ってことで、日本国内のマスコミ不審も相当なものですが、フランスでもマスコミ不審は相当なようですね。どの国も御用テレビや御用新聞には疑いの目を持っているということでしょうか。
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